幼少時から、父から「エビの尻尾は食え」と教わってきた。
続けて父はいつもこう言った。
「エビは尻尾(しっぽ)が一番うまい」
と。
おさなごころに「それは言い過ぎ」と思っていた。
しかし、エビの尻尾が美味いのにはおおむね同意である。
もちろん食べる尻尾は、焼きの入ったカリカリの尻尾。
海老フライや海老天、エビの丸焼きなどの尻尾だ。
カリっと。
もしくはバリっと。
口の中が痛くなることもあるが、たしかに美味。
味が濃縮されている気がする。
しかし……
「一番美味い」は言い過ぎだろ……と思っていた。
というか、思っている。
大人になった今でもそう思う。
一番美味しいのは、やはり「身」だろう。
その次くらいに「尻尾」だろう。
親父は言い過ぎなところがある。
だが、それもまた良し。
親父はそう思っているのだから、それで良いのだ。