20歳で漫画家&ライターとしてデビューしてから今に至るまでの20年間、ずーっと私にお仕事を振ってくれている雑誌がある……というか編集さんがいる。
付き合い20年。
私が海外に放浪していた2年半を除いて、あとの期間は100%毎月毎月、漫画の仕事を依頼してくれている。
編集者として尊敬すべき大先輩……というより、まさしく人生の大先輩。
仕事上の悩みがあったら、まずその人に相談するってくらいの師匠的存在の恩人だ。
そんな師匠から教わったことは数知れないし、いまだに学ぶことが多いけれど、中でも一番の教えは「細かいところも妥協しない」ってことかもしれない。
漫画で笑わせるのは当たり前。
お金が発生するお仕事なのだから当たり前。
でも真のプロは、その先の美しさまで気を使え。
言葉にして言われたわけではないけれど、そんな「妥協なき仕事へのこだわり」みたいな姿勢を教わってきたような気がする。
たとえば数ヶ月前のこと。
ひさびさに怒られたことがあった。
40過ぎのおっさんが、50くらいのおっさんに怒られるなんて何が原因⁉︎ って思うかもしれないが、この時の原因を簡単に言うと
「!」と「‼︎」のフォントの違い
だった……。
私の使う漫画ソフトでは、!は全角、‼︎は半角になり、それぞれフォントも変わるのだ。
印刷された文字を、よーく見ないとわからない。
だが、その違いを許せなかったのが師匠。
たしかに、言われてみるとフォント違いは美しくない。
ここまでこだわるか、師匠……!
しかし、ここまで見るのがプロ。
ここまでやるのが、お金もらうお仕事。
その姿勢は、20年前も今も何も変わっていないのだった。
つい先日、こんなことがあった。
いつものように漫画を描いて。
内容はバッチリ。
自分で読んでもおもしろい。
見直ししてからメールで送って。
念のため、送った圧縮ファイルを自分で受信してから解凍して再度確認。
……すると!
なんと、3ミリ程度の「ゴミ線」が見つかったのである。
たった3ミリ。
されど3ミリ。
気になるっちゃ気になるゴミ。
私は「やばい!」と叫びながらすぐに修正し、マッハで「さっきの原稿、ゴミついてました! こちらに差し替えてください!」とメールし直した。
すると、こんなメールが返ってきた。
「早速確認しまして問題ありませんでした。
ゴミ取ってくれと指示を書こうとしてたら、秒で修正が来ました。
ちゃんと送った後にチェックしてるんですね……エライ!」
「エライ!」……ヤッター\(^o^)/
40ずきのおっさんになったけど、いまだに目上の人から褒められると素直に嬉しい。
妥協しないで本当に良かった。
プロに褒められるプロでありたい。
いつまでも。