「そういえば」で始める話題ではない気もするが、そういえばこの前カンチョーしたのである。
その日は朝から晩まで屁が止まらなかった。
プップカプップカと尻からファンファーレが鳴り続け、ドからシまで音階サンプリングできるくらいの熱演で、もしも屁に浮遊の力があるならば、夜には大気圏を突破していたほど。
そのくらいの屁人間であり、部屋の中の空気の30%は屁なのでは?というくらいの屁日和だった。
テレワークの日で助かった。
どう考えても腹の中に何かがいる。
まるで洞窟の中に潜むラスボス的なモンスターのように、そいつのせいで屁が止まらないのは明らかだった。
しかしトイレに入ってもラスボスが出て来る気配はない。
ボスボスとガスが出てくるだけだった。
ボスガス暴発。
そこでドラスト (ドラッグストア)におもむき、やくそうを物色。
ガスピタンでなんとかしようとも考えたが、ふとイチジク浣腸が目にとまった。
「今すぐ出したい」との文言を見て購入を決意。
そう、まさに今すぐ出したいのだ。
しかも想像以上に安かった。
しかしながら、これを実践するのは、けっこうな勇気が必要だ。
イチヂク浣腸なんて、何年ぶりのことだろう。
死ぬほど腹が痛くて救急車で病院に駆け込んだら、実は単なる糞詰まりで、看護婦さんにカンチョーされて悶絶したハタチの頃……以来かもしれない。
とにかく、トイレにこもって、やってみた。
なかなか上手に入らなく、「ローションがあればな……」なんて思いながらグリグリした。
そして液体をプシャーっと入れて、「3分から10分」を我慢……
……できずに1分くらいで出してしもうた。
さらに出てきたのはラスボスではなく、思わず「え、おまえ?」と言ってしまうような、まるでスライムのようなザコだった。
しかしながら、屁は止まった。
羽鳥国に平和がおとずれた。
スライムだからってナメてはいけない。
やまない雨はない。
明けない夜はない。
止まらない屁はない。
たまのカンチョーも悪くない。