武士の情けでどこの店かは書かないが。
いつぞやか、東北出身の人と街の中華屋に行った。
そこそこ有名な店で。
とはいえ庶民的な価格の。
カウンターに座り。
適当に注文した。
それぞれ食べたいものを。
そんな感じで待ってる間にそいつはいた。
目の前のカウンターの上を闊歩している。
赤ちゃんではあるが、そこそこ大きめ。
でかいアリよりは確実にデカイ。
あっちいったり、こっちいったり。
箸箱の中へ!!!!!!
……入るギリギリでUターン。
もう中華どころではない。
やがて私の注文してたものが来た。
でもすぐそこにG。
さらに!
よく見ると小さい弟みたいなやつも。
さらに別の小さいやつも。
目の前にGが3匹もいる光景なんて滅多にないぞ。
しかも、オレの注文したメシもGと同じ画角に入っているという。
もうメシどころの話ではない。
まさしく上の空。
気もそぞろ。
そんな様子でメシをかっ込んでいたのだが、隣の東北の人は、目の前にGが来ると、「フー!」と吐息で方向転換を狙うという荒技を繰り出し、上手にGを追い返していた。
びっくりはしていたが、そこまで「ムリ!」って感じではなかった。
強いなぁ……と思った。
あとから聞いたら、やはり東北で「G」はあまり見たことないから怖さもよくわからないのだという。
むしろカマドウマの方が怖いとかなんだとか。
いずれにしても。
もうその店に行くことはないだろう。
新年初G。
まだ冬だというのに。