ものすごく不思議な体験をした気がする。
東京の某所。
その時わたしは、完全に「疲れ切った45歳のおじさん」であった。
でかいリュックを背負い、汗だく → それが乾いた据えた匂いを放つボロ雑巾のような羽鳥豪であった。
そんな状態の時、後ろの方で声がした。
「レイちゃん?」
確かに聞こえたが、スルーした。
レイちゃん。
私が女装時に名乗る名前「レイ」と同じ。
今現在の正確な名前は「スーパーレイ」だが、女装イベントや女装メイクサロンやポールダンスの仲間内では「レイちゃん」と呼ばれたりもする。
しかし今の私は、レのレの字もない、完全なる「疲れたおじさん (45)」であり、メイクもしてない、ひとつも女性モノを身につけていない「羽鳥豪」である。
なので「私ではないだろう」と一度はスルーした。
しかし!
「レイちゃん?」
あらためて問われた。
はっきりと私に向かって「レイちゃん」と問いかけるお姉様が目の前に。
そのとき初めて「ハッ」としたのだ。
レイちゃん=私なのだと。
それはそれは不思議な感覚だった。
元プロレスラーの武藤敬司さんが、「ムタさん?」と声をかけられているのと同じような。
いや、大仁田厚が “たまにしか変身しない” 「グレート・ニタさん?」と声かけられているのに近いかも知らない。
仮に私もメイクしてたら完全に「スーパーレイモード」になっているから、「レイちゃん?」の呼びかけにも即応じられる。
ポールダンスの練習時、ダンス用のラテンヒールを履いているときも、「ヒール=女装」なので、「レイちゃん」の呼びかけにも対応できる。
しかし、まるで女装モードではない時に、唐突に「レイちゃん」と問われても、即反応できない私がいたのである。
「インスタとかもよく見ています」
声をかけてくれたお姉さまから嬉しいお言葉。
それに対し、少し気を取り直し、「ありがとうございます」とは答えられたものの、かなり脳が混乱してしまい、私の思う100%の対応ができなかった。
いつもはもっと丁寧に、こちらから握手まで求めるほど落ち着いて対応できるのに「単なるおじさん (45)の時に女装ネームで呼びかけられても、うまく対応できない」ことが今回初めて判明したのである。
「GO羽鳥さん?」
「羽鳥さんですよね?」
たまにいただく、ありがたい声かけのお言葉。
しかし、時には
「レイちゃん?」
と声をかけられる場合もあるのだなと、昨日あらためて認識したのであった。
あの時にお声をかけてくれたお姉様、ありがとうございました!
少し気が動転して変なリアクションになってしまいましたが、とても嬉しかったです。
また見かけたら、ぜひお声掛けください。
「レイちゃん?」で来たら、次こそはスーパーレイモードでリアクションできるようにしておきます。
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