もうかれこれ29年の付き合いになる我が家のリクガメ「モトラちゃん」だが、こうして2人だけ(1人と1匹)で暮らすのは今年が始めてだったりする。
私が主として育ててきたが、常に誰かしらが周りにいた。
家族の一員的な存在。
でも今は、1人と1匹。
これまでけっこうラフに育ててきたうえ、もう年齢も30歳くらい。
リクガメの寿命は長くて30〜40年と言われているので、もういよいよデリケートに扱った方が良いのではと思ったりもし、あらためてネットで調べてみると「冬眠どうするか問題」なる疑問に悩む人が多いことを知った。
そんな概念があったなんて知らなかった……。
一方、我が家の場合は……自然にゆだねる、だった。
先ほども書いたが実にラフに育ててきたので、モトラがメシを食わないし動かない → 冬眠してるんだな → 暖かくなってきたらゴソゴソと起き出して……を29年繰り返してきた。
でもネットの情報を読めば読むほど不安になった。
「冬眠したまま永眠になる可能性もある」とかで、冬眠させない人が多いことも知った。
暖かくするなどして、寝かせないで(冬眠させないで)、冬を越させてしまうのだという。
どうしよう、どうしよう……と悩む日々。
ちょうどタイミングよく、唯一無二の爬虫類雑誌『ビバリウムガイド』の編集長、“トミー” こと(※私が勝手にそう呼んでるだけだが)冨水 明(とみみず あきら)氏と飲む機会があり聞いてみると、
「冬眠させたほうがいい」
とのこと。
さらに、その飲みの場所が、これまた唯一無二の爬虫類バー「BAR 夜刀神」だったこともあり、店長さんに聞いてみると、これまた
「冬眠させたほうがいい」
との回答。
その方が長生きするとの見解で一致していた。
日本を代表する爬虫類のプロ2人の意見が「冬眠させた方がいい」で、ネットに多くある情報は「させないほうがいい」。
トミーは「羽鳥さん、大事に育ててるから、ちゃんとヒーターとかつけてるでしょ? そのヒーターとか切っておけば、モトラちゃんは自分のタイミングで冬眠していくよ」
との助言もあり、ヒーターはオフに。
しかし、それでも悩みまくった。
「冬眠からの永眠」というのが怖いし、寂しいし。
どうしたもんか……と悩んでいたら、
モトラは勝手に冬眠していた。
エサも食べず、ずっと寝ている。
たまにゴンゴンと壁に頭突きをカマしたり、ごくたま〜に方向転換したりもするので生きている。
単に寝ているだけと思われる。
ちょうど先日、ここ数年間、実家にいたモトラの世話をしてくれていた母に会ったのだが、冬眠について聞いてみると、
「まあ、このくらいの時期になると冬眠してたね。何も食べなくなって。そんで春頃になったらゴソゴソ起きてくる感じだね」
やはり羽鳥流はラフであり、「自然にまかせる」だった。
また、その話を会社でしていたら、同僚の中澤星児が深いことを語った。
「もう年齢も年齢。もしも僕が亀だったら、冬眠しながら自然に永眠したい。それが幸せな永眠だと思う」
と。
たしかにそうだ。
私も死ぬならそう死にたい。
ということで、このところのモトラは眠ったままなのだが、
ついついクセで、ほんの少しの野菜は毎日あげている。
まるで神棚にお供え物をするかのように。
だってモトラが起きてきた時、腹を空かせて起きてきた時、そこに何もなかったらかわいそうだし。
なので、いつもよりも少なめだけど、毎日、ごはん(葉っぱ)を用意しているのだ。
そして茎は私が食べる。
味噌汁の具とかにして食べる。
モトラは冬眠しているけれど、私とモトラの生活は、何も変わりなく続いてる。
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