あえてタイの「てんや」に入ってみた。
上天丼を頼んでみた。
食べてみた。
ん!?
なんだ、きみは?
君は一体だれなんだ……?
何が言いたいのかと言うと、少しズレているのだ、天丼が。
天ぷらの揚げ方も、衣も、ビミョーに「日本の天ぷら」とはズレている。
天ぷ……ら〜〜ァッ? みたいな。
だって君、ぷらというより、フライではないか。
フリットに近い、フライではないか。
いや、フリットではないか。
ごはんにもハリがない。
米が総崩れしてしまっていると言うか。
ビミョーに何かがおかしい。
「機内食として出てくるオニギリのごはん」というか。
ほんの半音ズレている。
うまいまずいではなく、これを「よし」とゴーサインを出す人たちと、我々日本人の間には、「日本米」や「天ぷら」に対する感覚が微妙にズレているのだ。
とはいえ、「全然違う」わけではない。
食べ始めた瞬間は「お、天丼!」となった。
しかし食べ進めていくと、そのズレに気付き始める。
中盤以降は、ズレしか感じなくなる。
なので、「微妙に半音ズレた天丼」という印象なのだ。
天ぷらみたいなフリットと、ベチャベチャなごはんに、甘ったるいタレ。
合うわけがない。
わけがわからなくなる。
この食べ物はいったいなんなのかと。
中に入ってる三者たちもまた「なぜ俺たちが組まされたんだ?」と思いながら試合をしている感覚であろう。
天ぷらが違って、ご飯も違うとか、もうこれは「天丼」ではない。
「フリットボウル」に近い。
日本の会社なのに、海外に来るとこうなってしまうのかとカルチャーショック的なものを受けた。
「そのまま」には、ならないのだなと。
ちなみに、その後に出てきた「抹茶アイスwithあんこ」も半音ズレていた。
抹茶アイスとあんこを合わせるだけでもズレてしまう。
あんこがイマイチで、抹茶アイスは「アメリカか!」ってくらいに甘い。
まったくマリアージュしていない。
でも見た目は「あんこ入り抹茶アイス」。
食べてみないとわからないものである。
まだまだ世の中には知らないことがたくさんある。
タイでてんやの上天丼を食い、まだまだ自分は半人前だと言うことを知る。
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