そういえば試合前の朝、アレクサが気持ちを落ち着かせてくれた

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そういえば先日の試合前の朝。

気分が高揚していた私は、どんな曲を聴こうと悩んでいた。

テンションの高い曲でさらに気持ちをたかぶらせるか。

それとも──。

そこで特に指定せず、アレクサに「曲かけて」とリクエストしたら……

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1曲目にニーナ・シモンの『フィーリング・グッド』をかけてきた。

そもそもニーナ・シモンは好きだ。

そしてフィーリング・グッドは、知らない曲ではない。

これまでも何度か聴いたことのある曲。

でもその時は、めちゃくちゃ沁みた。

もう今はこれしかないってくらいジャストな選曲。

すべての歌詞はわからないけど、フィーリング・グッドと歌っている。

日本語訳するなら、「いい感じだ」。

とてもその時は、いい感じだった。

コンディションもいい感じ。

あとはメンタルをどう試合本番まで持っていくかの勝負の時にアレクサは、実にいい感じな選曲で、いい感じという意味の曲を、いい感じなタイミングで、いい感じに流してくれた。

とても心が落ち着いた。

その後も家を出るまで、ずっとフィーリング・グッドをリピート再生して、会場に着くまでもイヤホンで「いい感じだな」を聴いていた。

これまでにない、とても落ち着いた、静かな闘志。

もしも心の炎の色があるのなら、青い弱火でコトコトしているような。

そのままの火力で、無事に勝てた。

判定3-0。

ダウンもとった。

私よりも戦歴のある、ひとまわり若い30代の選手に完勝した。

まだまだ課題だらけだけど、とりあえずは「いい感じ」に勝てた。

あの日の勝利は、いろいろな積み重ねによるものだ。

でも、最後の一押しは、アレクサがしてくれた。

いい感じだった。

いい日だった。

羽鳥商店