関西国際空港にて。
出発も到着もごちゃ混ぜのフロア。
昨日のことだ。
私はソファ的な椅子に座り、バックバックの中身の整理をしていた。
そのとき、何かが落ちるのを視界の隅にとらえていた。
何かが落ちた。
白い紙切れ。
落としたのは外国の方で、家族連れのパパ。
「あっちだ」みたいに家族を率いている。
パパは荷物が積まれた大きなカートを押していた。
その「あっちだ」の直後、白い紙切れが落ちた。
それを視界の隅の隅の方でとらえていた。
しかし、すぐに確認しない私がいた。
こちらはこちらの荷物整理で手一杯。
気にはなっていたが、そのまま荷物を整理し終えた。
その間、約30秒くらいか。
パチッとバックパックの留め具を止めた直後、白い紙切れがまだ落ちていたので、確認しに席を立った。
買い物のレシートではないなと、厚みでわかっていた。
使い終えた後の航空チケットの半券である可能性が高い。
そう瞬時に判断したからこそ、一瞬はスルーしてしまった。
しかしそれは半券ではなく、これからまさに使われようとしている航空券だった。
ゲートとか座席とかも書いてあるチケット。
シンガポールとか書いてあった気がするが、よく見る前に「これは大変だ!」となり、バックパックを背負ってパパさん方面に駆け出した。
まだ30秒そこら。
きっとパパさん一家はそのへんにいる……と思いきや、カート押しの家族連れの外国人なんて山ほどいた。
パパさんの特徴も視界の隅でとらえていただけなので、「メガネをかけた西洋人……かインド人?」と、かなりあいまいだった。
結局、チケットはインフォメーションに「すぐそこに落ちてました。これから使われるチケットです」と手渡した。
あとのことは、関空の組織力ならびに、パパさんがインフォメーションに問い合わせてくれることを祈るばかり。
しかし今でも後悔している。
あの時。
落ちた瞬間に、「落ちましたよ」となぜ言えなかったか。
すぐに「エクスキューズミー」と声をかければ、パパさんも、パパさん家族も焦ることにならず済んだと思うと、「何やってんだオレ」と自責の念にかられる。
1日経ってもまだモヤモヤしている。
思ったら即行動。
それが100%できる人間になりたい。
いや、なる。
もう、きっと、なった。
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