羽鳥商店

GO羽鳥(マミヤ狂四郎)の自由帳。

死闘を経て

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当に昨日は死闘だった。

ひさびさに自分の中の限界の上の限界を超えていた。

1日2試合。

計4ラウンド。

1試合目から大誤算だった。

 

相手の能美幸司選手のジムは「Maga GYM 赤坂」。

調べてみると、イスラエル護身術「クラヴマガ」を主としたジムらしい。

 

えー、クラヴマガ!

 

まったく戦法がわからない。

能美選手の情報も皆無。

どんな戦い方でくるのだろう……。

 

クラヴマガは「ハンマーパンチ」なる打撃が有名らしいけど、それを軸としてくるのだろうか……。

 

それともハンマーパンチ以外にもクラヴマガの奥義みたいなのが飛んでくるのか。

 

マジで未知数。

どうしよう……。

 

でも私、昔、ロシア護身術「システマ」を習ったこともあるし、さらに昔は「骨法」にハマってた時期もあるし、護身術対決なら……と、なんだかよくわからない対向意識を燃やしつつも、内心は不安でいっぱいだった。

 

 

かくして対峙しゴングが鳴ると、能美選手はめちゃめちゃオーソドックスにパンチと蹴りを繰り出しまくる純キックボクサーだった。

予想外の展開に焦り、私は本来の動きができなかった。

 

しかも気持ちで来る選手。

たぶん殴り合う時間が多かったからだと思うが、相手の顔がよく見える。

「本気で自分をぶん殴ってくる人の顔」が嫌と言うほどよく見える。

 

 

なぜか試合中、私のデビュー戦である寒河江 (さがえ)選手との戦いがフラッシュバックした。

あの時も気持ちでグイグイ来られてパンチ打たれまくって惜しくも負けた。

 

 

このままじゃ負ける!

 

 

と、その時、セカンドからヒザの指示。

放ってみると、けっこう当たる。

 

そういえば寒河江選手とやったときも、パンチ打たれまくった時、無意識的にヒザで応戦した。

それまたフラッシュバックしつつ、その後はヒザ (テンカオ)を出しまくって、なんとか判定勝利をもぎとった。

 

勝ちはしたけど、能美選手は想像以上に強かった。

私は全力を使い果たしていた。

しかも左ミドルをもらったのか、左手を負傷してしまった。

 

 

 

次の試合まで1時間ちょい。

仲間にロキソニン入りの湿布をもらい、なんとか痛みを和らげた。

気持ちだけは切らさないようにして、ひたすら体力の回復に集中した。

 

 

次なる相手は戸田学選手。

過去、私と同ジムの仲間、大東選手は戸田選手にKOされている。

さらに日本キック・マスターズ界の生きるレジェンド田中選手も戸田選手には勝てていない (ドロー)。

 

つまり、強い。

超強い。

マジでヤバい。

 

過去の試合映像を観ると、かなりパワーのあるブンブン丸。

こんなのマトモにもらったら下手すりゃ私もKOされるぞ……。

もう恐怖しかない。

 

 

作戦的には、ガード固めて、細かくワンツー。

もしくはミドル。

とにかくシンプルに行くしかなかった。

 

 

そしてゴング。

もう必死過ぎて覚えていない。

まさに文字通り「必死」だった。

うまくできたのかどうかもわからない。

ただただ、がむしゃらに、蹴りまくった。

気持ちと根性だけで押し切った。

 

 

ほんとに、気持ちと根性だけ。

テクもクソもない。

もう気合いだけしか私にはなかった。

 

 

試合終えた直後、勝ったような気がした。

何に勝ったって、試合もそうだけど、自分に勝ったと思った。

 

心が折れるかどうかの瀬戸際。

首の皮一枚。

ここで自分に負けたらすべてが終わる。

ハートだけ。

本当にそれだけ。

 

 

 

かくして試合も2-1で勝てた。

本当にギリギリの戦いだった。

戸田選手、本当の本当に強かった。

 

 

終わってみれば、両選手とも強敵だった。

どちらも僅差だったと思う。

なぜ勝てたのか。

ほんの少しだけ、ほんの0.1ミリくらいだけ、私の方が気持ちが強かったのかもしれない。

 

 

 

すごい1日だった。

とんでもない体験をした。

きっと1日2試合やった昨日のことは、一生忘れないと思う。

 

死闘だった。

生還した。

勝利メダル2つ持って。