
彼は突然わたしの前に現れた。
まだ20代そこそこ。
ヤンキーか?
むしろ暴走族の方が近いオスオス系。
度が入っているらしく、仕事中もサングラスをしていた。
それは客商売としてどうなのかとも思うが、彼は見た目に反し、明るくて無邪気で、楽しくてよく喋る、実に面白い男だった。
コミカルに「ばかやろう」とツッコめそうな、素ボケが入った若者の日常話が面白かった。
気が合うのか、私とは会話も弾んだ。
今にしてみれば、「面白い子」というか、「少し変な子」だったのかもしれないが、私自身が変な子なので、そのあたり気づけなかった。
数日前も楽しそうにしていた。
笑顔があった。
飲みの場では、楽しそうに酔っ払っていた。
その二日後の夜、彼は「お世話になりました」と上司や先輩がいる全体チャットで言ったのち、スッと自ら「退室」。
忽然と、唐突に、我々の前から姿を消した彼。
いわゆる「飛んだ」。
まったく読めなかった。
凄まじい電光石火。
来たのも突然なら、消えるのも突然。
何を考えているのか、本当にわからない。
これが最近の若者なのか……と思いつつ、当然ちゃんとした人もいるのだから、この子に限った話なのかもしれないが。
いずれにせよ。
彼は瞬く間に消えた。
まるでスワイプするように。
ザッピングするように、彼は生きていた。
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