羽鳥商店

GO羽鳥(マミヤ狂四郎)の自由帳。

上司に「上手すぎると売れない」と言われた話

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分で「うまい」と言うのもどうかと思うが、私は動画のカット技術にはかなり自信がある。

 

ここでいうカット技術とは、長い素材を1分以内にまとめるような編集のこと。

余分な部分を削り、テンポよくつなぎ、見どころだけを抽出する。そういう作業である。

 


たとえばさっきも、チャーハンを作って食べる動画を編集していたのだが、トータル20分ほどの素材を、あっという間に1分以内にまとめた。


なぜ、こんなに速くカットできるのか。

その理由を書いておきたい。

 

ロケットニュースに入る前、私はAVのモザイク処理の仕事をしていた。

いわゆる「モザイク師」である。

 

だが実は、その前は「サンプル動画担当」だった。

1本の長い作品を、1分以内のサンプル動画に編集する仕事だ。

 

ここで私は、かなり早い段階で “感覚” をつかんでしまった。

自分でも「これは真似できんだろ」と思うレベルで、いわば “神カット” のような編集をしていた。

 

どのくらい神かといえば、卑猥な話で恐縮だが、

 

パンパンパパパ、パパパパパーン!!!

 

と、リズミカルに「全シーン違う体位でつないでいく」……みたいな、気の狂ったようなカット編集のサンプル動画も、マッハで仕上げていた。

 

映像と音のタイミングはドンピシャ。

いわばVJ的な編集である。

 

ところが、すぐにその部署から外された。

 

理由はシンプルだった。

 


「豪くんのサンプルは出来が良すぎる」

 


つまり、1分のサンプルだけで満足してしまい、本編が売れなくなるというのだ。

 

見どころを凝縮しすぎて、ユーザーがそれで完結してしまうのである。

 

しかも私は、ただ切り貼りするだけでなく、テンポやリズムまで意識していた。

細かくカットを刻み、流れを作り、一切ストレスなく、見ていて気持ちよくなるような編集をしていたのだ。

 

 

その結果、外された。

早かった。2週間しないうちに。

自分で言うのもなんだが、最初から完成度が高すぎたのである。

 

ただ、そのとき上司から「売れるサンプル動画のコツ」は教わった。

せっかくなので公開しよう。


簡単だ。

 

 


「あえて下手に作ること」

 

 


これに尽きるという。

 

出来の悪いサンプルにすることで、視聴者はストレスや物足りなさを感じる。

その状態のまま、本編を見たくなり、購入につながる。


なるほど、と思った。

これはかなり高度な設計である。

 

あえて完成度を下げることで、本編の価値を上げる。

逆説的だが、非常に理にかなっている。


私はこの考え方に、当時かなり衝撃を受けた。

 

そして思うのだ。


アダルト業界で培われている編集感覚や見せ方の工夫は、やはり侮れない。

むしろ、かなり洗練されているのではないかと。

 

 

今のIT的な仕事になってからも、私は研究のため、アダルトサイトをほぼ毎日巡回している。


いろんなサイトがあるが、これほど「むき出しの本能」と対峙する戦場はないと思っている。


だからこそ、参考になる。

 

こういう話を同業者にすることもあるが、「アダルト」と聞いた途端、皆、真面目に聞こうとしない。

どこかでアダルトを見下している感もある。


そういう人を見るたびに、私は心の中で「本当に木を見て森を見ずだな」と思う。

平たくいえば「視野が狭いな」と思っている。

 

 

まるで “本質” が見えていないのだ。

私の話の本質すら理解しようともしない。

「アダルト」という言葉が出ただけで。

 

 

アダルト。

 

まさに裸と裸のぶつかり合いだが、その裏にある、人間の本能を攻略するための技やテクニックは、武器や防具なしで相手を仕留める武術のような趣もあり、こういう本質的な技術や考え方こそ真面目に学ぶべきものだと私は昔から思っている。


だから今日も、私は観る。

アダルトサイトを、真剣に、観る。

 

観終えたら、そっと閉じる。

「ばかやろう!」と叫んだり、「もういいから!」とつぶやきながら。

 

そしてこの時に『禅』などの動画や商品が出てきたら、無意識的に推してしまうかも──とか考えたりも。