
亡くなった親父の遺品整理が始まったらしい。
姉から連絡が来て、「何か取っておくものある?」と。
あわせて、親父の部屋の写真も送られてきた。
見てみると──ほとんどが本棚。
そしてレコード。
まず本だが、これがまた……政治的な思想が強い。
ある方向への偏りが、とにかくすごい。
クセが強い方向に振り切っていた。
「まさに、親父だな」と思った。
よくも悪くも、父はかなり偏った思想の持ち主だった。
それがそのまんま本棚に出ている。
だが、それも含めて “らしさ” だろう。
とはいえ、本はいらない。
もらっても読む時間がない。
あいにく我が家の本棚もフルであるし、読み終えてない本が30冊以上はあるし。
続いてレコード。
こちらはもしかしたら貴重なものもあるかもしれない。
たとえばビートルズなんて、初版の可能性もあるし、落語のレコードも見たことがある。
一瞬だけ悩んだ。
……が、やはりいらない。
そもそも再生環境がないし、音楽はデジタルで聴く派であるし。
じゃあ服はどうか。
これもいらない。
サイズがまったく合わないし、特別オシャレだったわけでもない。
ということで、「欲しいものは特にない」と姉に伝えたところ、「まじかwww」みたいな感じで笑われ、ちょっと驚かれた。
だが、その直後。
ふと、ひとつ思いついた。
「メガネだけ、もしあったら取っといて」
親父は、どこか石原慎太郎みたいな銀縁&四角のメガネをかけていた。
ダサいっちゃダサいが、カッコいいっちゃカッコいい。
レトロというか、ただの “リアル” というか。
あえてそれをオシャレとしてかけてみるのもアリなんじゃないか。
レンズをサングラスに変えるのも面白そうだ。
というわけで姉ちゃん。
親父のメガネ、取っといて。
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