
先日、「うまく作ったら売れない」という話を書いた。
今回はその続き。
私がロケットニュースに入る直前に勤めていた、アダルトサイト運営会社での話だ。
その会社には2年ほど在籍した。
モザイク担当として1年以上働いていたことは以前書いたが、その前は動画サンプル担当、さらにその前は——「紹介文担当」である。
AVの紹介文を書く仕事。
これはもう、天職だと思った。
漫画家時代に仕事をした100誌以上のうち、8割以上がアダルト系。
なぜならエロ本には私の活躍できる「サブカルコーナー」がほぼ必ずあったからだ。
結果として、そんな “エロ本畑” で育ち、親父もエロ本マニア。
アダルト × 文章という組み合わせで負けるわけがない。
水を得た魚とはこのことだ、と鼻の穴を膨らませていた。
……が、1カ月で外された。
「豪くんの文章、笑っちゃうのよ。アダルトはね、笑わせたら売れないの」
言われてみれば、たしかにそうだ。
ムラムラしてサイトに来たのに、紹介文で笑ってしまったらスイッチが切れる。
私はリズムだの言葉遊びだのを短い文字数に詰め込み、クスッとさせる文章を毎日量産していた。
上司は続けた。
「紹介文なんて機械的でいいの。ユーザーはサムネイルで判断するんだから。“水着” “制服” “人妻”、情報を添える程度でいいの」
なるほど、完全に合理的だ。
エロは理屈より先に反応する。
考えさせる余地など、最初からいらない。
「うまい文章」が入り込む隙がそもそもないのだ。
うまさが、邪魔になる。
これはアダルトに限った話ではない気がする。
どの業界にも ”売るための最適解” があって、それは必ずしも「クオリティの高さ」とイコールではない。
技術や表現力が、常に成果に直結するわけではない。
むしろ逆に作用することだってあるのだ。
……などと真面目なことを考えながら、今日も私はエロサイトを眺めている。
勉強のため。
断じて、学びのために。
