勇気を出して「カバンのチャックが開いてますヨ」を伝えられた日

そういえば昨日。

駅の階段を降りていたら、目の前の人のリュックのチャックが開いていた。

開いていたのは小さいポッケで、お財布らしきモノがガン見えだった。

声をかけよう……と思ったが、どうもとっさに勇気が出ない。

ウ〜……と唸ってるうちに、彼も私もホームについた。

すぐ横には、カバンの開いた彼がいる。

しかし彼の耳にはワイヤレスイヤホン。

ますます声がかけにくい。

でも……。

いつも、こうして声をかけずにスルーしちゃって、その日いちにち、はたまた翌日まで、「オレというヤツは……この臆病者め！」と落ち込んだりするのである。

彼のために。

今日の自分のために。

なんなら明日の自分のために！

勇気を出して、声ではなく、ジェスチャーで伝えることにした。

「スミマセン、あなたの背負ってるカバンのチャック、開いてますよ〜」

と身振り手振りで伝えてみると、彼 （おじさん）もまた、

「あっ、ありがとうございます！　ありがとうございます！」

と、カバンをチェックしながらジェスチャーでお礼を伝えてきてくれた。

よかった。

彼のサイフも、これできっと無事である。

彼の一日も安泰であり、私の心も安泰。

勇気をふりしぼって、声 （というかジェスチャー）をかけてよかった。

というか、自分の場合、声よりジェスチャーのほうが伝えやすいかも。

もっとジェスチャーに磨きをかけよう。

なんなら腹話術もマスターしたい。

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