羽鳥商店

GO羽鳥(マミヤ狂四郎)の自由帳。

「絵を上手く見せる方法」は、楽しい気持ちで描くこと

f:id:gohatori:20231223020020j:image

あるアラフォーの男から「豪さんに、絵のことについて相談したい」とのヘルプがあった。

 

時間を作って会いに行くと、とても真剣に「絵を描きたい」と。

ただ、絵心は、ほぼゼロだと。

 

しかし彼が数年前に描いたイラスト (それしかなかった)を見て、私はイケると確信した。

 

なぜなら、丁寧に描いていたからだ。

 

殴り書きではなく、丁寧に。

ちゃんと描こう、という意志を感じる線だった。

そういう人は、だいたいイケる。

 

 

「豪さんは、人を描く時、顔と体、どっちから先に描きますか?」

 

 

そんな質問からQ&Aは始まった。

 

「顔は描けるけど、体が描けない」

「道具は何を使って描けばいいのか」

「動物を描くポイントは」

「色はあった方がいいか」

 

どんどん彼の口からQが出てくる。

 

絵が下手な漫画家である私だが、さすがにプロとして20年以上やってきた経験があるので、すべての質問に即答していく。

 

f:id:gohatori:20231223074700j:image

 

アラフォーの彼が、今から絵を描こうとしている。

年齢なんて関係ない。

でも、時間がないのも事実である。

今からイチから絵を学んでいたら、作品を発表できるのは彼がジーサンになってからになってしまう。

 

彼はすぐに描きたい。

しかも、いま “ヤル気” がみなぎってる。

 

なので、超実戦的なポイントを惜しげもなく教えることにした。

 

本当に「超スーパー裏テク」的な、究極奥義を彼に教えた。

 

だいたい以下のようなことを。

 

 

 

 

 

最も大切なのは、楽しく描くこと。

 

難しく考えないこと。

 

脱力して描いて。

 

 

絵が下手な人には「味」という最強の武器がある。

 

その「味」は、なまじ絵を描き続けてしまった人には “絶対に” 出せない魅惑の味。

 

だから、それを大切にした方がいい。

 

下手したら、プロを負かせられる。

 

 

 

まずは、あるもので描こう。

 

とりあえず描こう。

 

iPadとかソフトとかアプリとか、そんなのは不要。

 

家にあるもので描こう。

 

画用紙に描こう。

 

メモ帳でもいいよ。

 

自分で描いてて “楽しいな” って思う道具を使って楽しい気持ちで描くんだ。

 

 

 

楽しい気持ちはそのままダイレクトに伝わるよ。

 

つらい気持ちや、マイナスな気持ちで描いたら、それそのまま伝わるよ。

 

だから「つらい」となったら描くのをやめたほうがいい。

 

「たのしい」って思えてる時に描いた方がいい。

 

 

絵にはね、うまい絵と、へたな絵と、おもしろい絵と、つまらない絵がある。

 

もしも読者が子供たちなら、絶対に「おもしろい絵」のほうがいい。

 

下手でもいい。

 

複雑ではない、わかりやすい絵。

 

デッサンなんて関係ない。

 

 

 

「手」なんて正確に描く必要はないよ。

 

複雑な動きをする「手」なんて、いちばん難しいんだから。

 

そんなの無視してドラえもんの手でいいよ。

 

まずは◯でいいんだよ。

 

 

 

たとえばだよ。

 

こうしてこうしてこうしてこう。

 

見てごらん。

 

f:id:gohatori:20231223015952j:image

 

「動き」が生まれただろう。

 

躍動感。

 

これでいいんだよ。

 

 

 

いいかい?

 

「絵がうまい」けど「つまらない絵」を描く人はゴマンといる。

 

なんでつまらなくなるかというと、動きがないからだとオレは思う。

 

「上手く描こう、上手く描こう」と思いながら描くから、体が縮こまって、感情や動きも少なくなって「動きのない絵」になる。

 

だから絵がつまらなくなる。

 

 

 

下手でもいいから「動き」を出すんだ。

 

動きを出したら、なぜか不思議と「上手く見える」から。

 

「絵が上手いけど動きや感情がない絵」より「絵が下手だけど動きや感情がある絵」のほうが、見てる側は楽しいんだ。

 

楽しませらせる=「うまい」なんだよ。

※漫画の世界では。

 

 

 

──だいたいこんな感じで、1時間以上、みっちり楽しく「裏技」だけを伝授した。

 

ほかにも裏テクを山ほど教えた。

 

彼がどんな絵を描いてくるのか楽しみだ。

 

 

 

そして私は思った。

 

教えるのって、楽しいなと。

 

わずか1時間ちょいの喫茶店トークだったけど、私も大いに気づきがあった。

 

そこまで絵が上手くないのに、プロの漫画家として24年も生きてこられた私が彼に教えることができたことは、「絵を上手く見せる方法」、それすなわち「絵が下手でも生き残る方法」だった。

 

 

 

以下は、私が過去に書いた (関わった)記事。

 

【禁断テク】現役漫画家が教える「絶対に真似をしてはならない9の漫画・イラスト裏テクニック」 | Pouch[ポーチ]

 

【まんが】プロの漫画家はペンを手で握るだけではなく足も口も使って描くの巻 | ロケットニュース24

 

お絵描き好き必見! タッチペンつき大画面5インチスマホ「GALAXY Note」は意外と “描ける” し遊べるぞーッ!! | ロケットニュース24

 

漫画家さんが教えてくれた「絵がうまくなる9の方法」 | ロケットニュース24

 

【超実戦的】現役プロ漫画家が伝授する「同じ角度しか描けなくてもOK」な革命的マンガ裏テク9選 | ロケットニュース24

 

【漫画の日】ズブの素人が描いたマンガの絵をプロ漫画家はこう直す「かっとばせホームラン編」 | ロケットニュース24

 

 

彼に伝えたかったことの、ほんの一部が、これらの記事には詰まってる。

 

もしよかったら見てみてね。

 

きっと楽しいはず。

 

なぜなら私が楽しみながら描いた (書いた)記事だから。

 

もしも楽しくなれたらなら、その気持ちのまま絵を描こう。

 

楽しい気持ちで絵を描こう。