今回も助けられた。
主に、おっちゃんたちに。
勝手のわからぬ路線バス。
日本国内でも知らない路線だらけなのだから、海外ともなればなおさらだ。
海外で路線バスに乗る時は、Googleマップが頼りである。
Googleマップのおかげで路線バスの可能性が一気に開花したといっても過言では無いと思う。
Googleマップは、旅の路線バスの大革命だ。
だが、時間通りに来ないのが路線バス。
いろいろと不確定なのも路線バス。
同じ路線なのに、行き先が違うとかもよくある話。
現地の人しか知らないローカルルールや諸事情が多いのも路線バスならでは。
当たり前かもしれないが、それをGoogleは理解していないことが多い。
あくまでもGoogleは、「情報としてはこう」というルートを示しているに過ぎない。
Googleマップがあったとしても、やはりハードモードなことには変わりないのだ。
──とある目的地に向かうためバスに乗った。
片道2時間、2本のバスを乗り継ぐ「乗り換えの移動」である。
Googleマップは、「ここで乗り換えろ」と、とあるバス停を示した。
そのバス停から、AB1 (仮)というバスに乗り換えろと。
見たところ、なんだか何もなさそうな「単なる道の途中っぽい」けど、Googleマップが言うなら間違いない。
んで、そのバス停に着くひとつ前のバス停を過ぎたあたりで、
「すみません、私、次に降ります! 私、ホニャララに行きたいから、次のバス停でバスをAB1に乗り換えます」
と運転手のおっちゃんに伝えると、なにやら現地語でワーワーと言っている。
何かを私に伝えようとしている。
すぐさま乗客のおっちゃんが、簡単な英語で通訳してくれた。
「ホニャララに行くなら、乗り換えるべきは次のバス停ではない。なぜなら乗り換えがものすごく難しいから」
その通訳オッチャンは、まさに次のバス停で降りて行ったが、あらためて振り向き、私に向かって
「君が降りるのはここではない。次のバス停がベターだ。運転手が連れて行ってくれる」
大丈夫かな……とバスに残る。
するとまた違う乗客のオッチャンが、これまた簡単な英語で話しかけてきた。
「どこから来たんだ? おー、日本か! 日本は行ったことある! いい国だ。日本は好きだ。
ところで、君はホニャララに行きたいのだよな?
となると、君が次に乗るバスはAB1だ。いま我々が乗ってるのはCD2、わかるな? 君が次に乗るのはAB1。そしたらホニャララが終点だ」
わかりやすい英語で、何度も説明してくれた。
その後バスは、学校の校庭くらいの広場に到着。
あ、ここ、前に来たことある!
以前にもバスを乗り換えたことのある、ちょっとしたバスターミナルじゃん!
たしかに、真っ暗な単なる道のバス停で乗り換えるより、バスターミナルで乗り換えた方が簡単かつ安全だ。
運転手のオッチャンは、
「AB1ホニャララ! AB1ホニャララ!」
と、私が乗るべきバスの便名と目的地を言い、「グッドラック」と親指を立ててバスごと去って行った。
一方、親日家のオッチャンは、バスを降りるなり、ターミナルに常駐しているスタッフ的なお姉ちゃんに、私がホニャララに行きたいことを伝えてくれた。
「あとは彼女が教えてくれる。気をつけて!」
そう言い、かっこよく去ろうとしたので「センキューベリーマッチ!」とお礼を伝えて握手した。
やがてAB1のバスがやってきた!
乗り込んで「ホニャララ!」と伝えると、運転手は「ノー」と言う。
えっ……!
違うの……?
──と思うも、先ほどのお姉ちゃんが
「このバスはAB1だけどホニャララには行かないAB1。次に来るのが、たぶんホニャララに行くAB1だから、ここでまだ待ってて」
と説明してくれた。
10分ほど待つと、またもAB1のバスがやってきた。
すぐさま乗り込んだのは私ではなく、お姉ちゃん。
そして運転手に行き先を確認をし、私に
「このバスはホニャララに行くやつ! これに乗ればOKよ!」
と。
私はセンキューベリーマッチと感謝を伝え、AB1のバスに乗り込んだ。
ふ〜、助かった。
まさに「同じ路線なのに、行き先が違う」だった。
もしも、ひとりで、さらに暗い道端でこの状況だったら、けっこうシンドかったかもしれない。
しかも時間的に、バスの運行時間ギリギリだったから、数本逃したらその日じゅうにホニャララに行けなかった可能性もある。
あぶない、あぶない。
そしてそのバスは、Googleマップが示した順路で目的地に向かって行った。
Googleは「ほらな、俺の言った通りAB1だろ?」的な顔をしているように思えた。
便利だけど、信じ過ぎてもいけないのがGoogle。
現地のことは、現地のことを熟知している人に聞くのが一番だ。
バスに限らず。
どんなことでも。
いつも旅では助けられっぱなし。
本当に感謝の連続だ。
なので日本に来た外国の人が困っていたら、積極的に助けるようにしている。
海外では、エクスキューズミー。
日本では、メイアイヘルプユー。
私も、「助けるおっちゃん」になりたい。