「どなたかしら」。
そう言いながら私は窓をピシャリと閉めた。
せっかくすがすがしい日曜日の朝の風を入れようと窓を全開にしていたら、タバコの香りがしてきたのである。
こんなに不快なことはない。
洗濯物も干している。
ニオイがついたらどうするんだと。
しかし、勝手なものである。
私もかつてはタバコをプカプカ吸っていた。
それこそヘビースモーカーの部類に入るくらい吸っていた。
ベランダに出て吸っていた。
火をつけると、すぐに「ピシャリ」「ピシャリ」という音が聞こえた。
私は、まさかこんなにタバコの煙が臭いものだとは知らず、「なんだよ、嫌味だな」なんて勝手なことを思っていた。
それが今となってはどうだ。
ニオイがしたらすぐピシャリ。
バンキシャ! ならぬ すぐピシャ! だ。
いずれにしても、紙巻きタバコは本当にキツイ。
せめて加熱式にしてほしい。
かつて自分も吸っていたくせに、だ。
いいや、自分が吸っていたからこそ、タバコのニオイが許せないのだ。
狭い喫煙所に入っている人を見ては「何してんだろ」と思ったりする。
バカじゃないかしらと思うこともある。
かつて自分がそこにいたくせに、だ。
人間とは実に勝手なものである。