私は旅が好きな旅人だと思う。
そして、私と同じように旅が好きな友達がいて。
方向性は全く違うしスタイルも正反対。
しかしお互い、目的や行く国がかぶらないので、旅の情報交換が実に楽しいし興味深い。
私はこんな関係の旅友達を「旅友 (たびとも)」と呼んでいる。
そんな私の旅友の中でも、とくに秘境に強い「秘境ハンターのMさん」が、最近ブータンに行ってきたと。
わりとリアルタイムでその日の状況など写真付きで教えてくれる。
それが毎回面白いのだけれど、今回のブータン編は、なんだか切ない報告が多かった。
「日本に比べると、古き良き日本というような雰囲気があって、大変独特ですが、素晴らしい国です」
とは前置きしながらも、特に強く感じたのは以下のようなものだったそうだ。
「建物のデザインが規制されているので、統一されていて、すごい光景です。
バイク0。バイクに乗らない国です。
少し前まで、外の世界を知らなかったので「幸福度ランキング世界1位」「アジアで1位」でした。
しかしネットが普及して、外の世界を知り、もう95位くらい。
近年、自殺者も出ていると、ガイドさんが悲しそうに話してました。
田舎の子供もスマホゲームです。
数年前からスマホゲームが流行ってしまったそうです。
スマホ、全員持ってます。
学生も持ってます。
すっごい田舎の家に泊まりましたが、そこも4Gが通じてました。
スマホがなければ、この国は、ある意味、幸せなままだったと思います。
若い子の多くは、将来を見据えて、オーストラリアへ出るそうです。
首都の若者の顔のタイトルは「諦めの国ブータン」でした。
なお、正直、ご飯はとてもマズイです」
スマホというものは、本当に革命的な発明だったと思う。
ものすごく便利になった。
生活が一変した。
旅も一変した。
全てが一変した。
でも、その革命で、喜んだ人もいれば悲劇を目の当たりにした人もいる。
知らなければよかったというものは、世の中に確実にある。
しかしながら、それらを選択するのもブータン人の自由でもあるし権利でもあるので何とも言えない。
ただ、スマホから知りうる情報だけでなく「知らない方が良いこと」はこの世の中にたくさんある。
知らない方が幸せでいられる場合もあるということ。
全てを知る必要はないということ。
情報も食べ物と同じく、取捨選択してとりいれたいところだ。
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