「たまの女装 (仕事)」をし始めてから10年以上が経つので、もう「プロ」と名乗ってもよかろう。
さすがに10年選手ともなると、本番前の下準備にも慣れてくる。
また、その本番が「すぐに終わるか、長丁場になるか」によっても、準備の仕方は変わってくる。
短期決戦からヒゲ剃りで大丈夫。
しかし、本番時間の長い長期戦では、ヒゲ剃りではなく、
ヒゲを抜くことが重要となる。
これ、かなりめんどくさいし、そもそも痛い。
特に鼻の下の口髭を抜くのが激痛で、痛みに耐えて涙を流しながらヌキヌキしている。
では、なぜそんな苦行をしなければならないのかと言うと、ズバリ!
本番中に髭が生えてくるからである。
短時間での撮影ならヒゲ剃りでも「逃げきれる」が、昼から夜遅くまで……のようなロングバトルになると、確実に髭が生えてくる。
まさしく「ひげガール」になるのだ。
それゆえ、たとえ1時間半ほどかかったとしても、1本1本丁寧にヒゲを抜く必要がある。
一度抜けば、なかなか生えてこないからだ。
また、上手にヒゲを抜くためには、ある程度の長さが必要。
いい感じに長くなってきたところで、1本1本抜く。
なので、「本番の数日前からヒゲを伸ばす」が必要なのだ。
しかし、このヒゲ抜き、面倒な反面、良いこともある。
それは、スマホなどを見ず、音楽を聴きながら、ひとつのことを淡々と続けることにより、頭の中が整理されるというか、スッキリするのだ。
ヒゲがスッキリするだけでなく、頭の中もスッキリするのである。
永久脱毛とかしたら楽なのだろうけど、たまにヒゲを伸ばしたくなる時もある。
なので欲張りな私は、面倒であっても、「ヒゲを生やす時の楽しみ」もとっておきたい。
な〜に、面倒でも1時間半で終わる。
「ヒゲを抜く楽しみ」を感じれば良いだけのことさ。