羽鳥商店

GO羽鳥(マミヤ狂四郎)の自由帳。

最高の普通のチャーハン

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とほと疲れ果てていた。

 

今晩は自炊無理。

久しぶりに外食しよう。

何か食べて帰ろう。

チャーハンが食べたい。

 

そうだ。

知人がSNSにあげてた町中華に行ってみよう。

彼はビールと焼きそばを食べていたけど、普通っぽくて妙にそそった。

ずっと心に残っていた。

 

昨日、そんな彼と会った。

 

「いい店ですけど、まぁ、味は普通ですよ」

 

こう疲労困憊しているときは、そんな「普通」が欲しくなる。

行列なんてしたくないし。

名店の名物料理と対峙するパワーも残っていない。

まさに「普通」が欲しいのだ。

 

とはいえ、チェーン中華みたいな「念」の入っていないチャーハンは食べたくない。

自動ドラム式の斜め回転鍋で作られたチャーハンなんて絶対に食べたくない。

人間が、鍋を振って、カンカンと作るチャーハンが食べたいのだ。

 

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その店に行ってみると、誰もいない。

「いらっしゃーい」

大将が心底リラックスした声で出迎えてくれた。

良い意味で緊張感がない。

 

私もリラックスして

「チャーハンお願いします」。

 

大将はまず水を持ってきてくれた。

ほどよく冷たい。

 

そしてスープの素を椀に入れ。

中華鍋に火をつけて、ゆっくりとチャーハンを作り始めた。

 

そこまで派手にカンカンしていないけど、あっという間にチャーハンが出来上がっていた。

小皿を使って2回ほど味見している。

予想外に、しっかり味を見ている。

いい感じの「念」が入っている。

 

そして卓に炒飯がやってきて。

最初の椀にスープを入れて中華スープもやってきて。

 

いただきます。


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……普通。

 

だが、そこがいい。

 

いや、普通が最高。

 

いいや、最高の普通。

 

とにかく、疲れ果てた私に、この店の普通なチャーハンは沁みまくった。

細かく刻まれたニンジンやシイタケが入っている系の欲張り健康系チャーハンだが、味的には普通。

そんな「普通」が効きまくった。

 

なんというか、サウナで「ととのった」みたいな感覚に近いチャーハンだった。

 

余計な力が入っていない大将の「念」が、チャーハンにもそのまま反映されている。

なのでそれを食べると、私も良い感じで脱力できる。

お味噌汁みたいな。

ホッとするチャーハン。

 

 

カウンターのみの店内。

流しっぱなしの日本語吹き替え海外ドラマ。

そこまで整理されていない卓上。

作り終えてからは新聞を読む大将。

 

 

なんだかとっても、居心地が良い。

 

 

やがて1人のお客が入ってきた。

ボウズのおじさんは「ビールとチャーハン」と注文した。

またもチャーハン。

大将は「はいよ」と言い、またもゆっくりとチャーハンを作り始めた。

 

ボウズのおじさんは、瓶ビールから手酌して、グイッと一杯うまそうに飲んでいた。

 

ここにあるのは、最高の普通のチャーハン。

普通を普通に味わえる幸せ。

それも極上な「念入りの普通」。

 

ごちそうさまでした。

チャーハン750円。

今度は私もビールも飲んでみようかな。

彼らみたいに。