羽鳥商店

GO羽鳥(マミヤ狂四郎)の自由帳。

どんな気持ちで生きているのか

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なさんは、どんな気持ちで生きているだろうか。

 

私はけっこう、カッコツケではなく、漠然とだけど、明日死ぬかもと思って生きている。

わりとすぐそこに死があると思いながら生きている。

なので1日1日をとても大切にしている。

 

 

むかしからよく「羽鳥さんは生き急いでる」と言われるけども、決して急いでいるわけではない。

精一杯生きてるだけ。

休んでる場合じゃねぇ〜って感じなだけ。

 

 

「わりとすぐそこに死がある」と思うようになったのは、海外を放浪してた時。

 

 

ちょいちょい死と隣り合わせな場面があった。

 

後述するけど、タイミング悪ければ私が爆死していた、なんてのもある。

運が悪けりゃ電車に轢かれていたって時もある。

スナイパーの腕が良ければ乗ってるヘリが撃墜されていたってことも。

夜の暗い細道で頭のおかしいラリった男に刺されてたかもって場面も。

 

 

たとえば。

 

 

インドにいる時、爆破テロがあって。

住んでたホテルの2ブロック先のジュース屋さん。

そこの店先のバイクが爆発して。

パキスタンのイスラム過激派組織からの爆破テロだったのだけれど、2ブロック先の私のホテルが激しく揺れるくらいの衝撃で。

 

窓を開けたら大惨事。

もう、そこかしこに「死」が見える。

ちょっとした戦争みたいな光景。

でも、なんなら数時間前に、そこ、通ったよと。

ジュースを買いに行ってたよと。

1日に何度も通る角っこで。

 

では、なんでホテルにいたのか。

漫画の〆切があったから。

編集さんから激しく催促されてて。

ホテルにこもって必死にネームを考えてた。

そんな時に、テロがあった。

 

その時、はっきりと思った。

 

私は、漫画の神に救われたのだと。

漫画の神に生かされた、と。

 

 

 

カンボジアにいる時も死があった。

ミスターハッピーニューイヤーと名乗るバイタクのオヤジのバイクに2ケツしつつ、郊外のド田舎から首都プノンペンへ向かっている時。

人垣ができていた。

中心には、ぐったりとしたオヤジ。

顔は白い。

肌黒いカンボジア人なのに、顔は白く、血の気が引いている。

そしてミスターハッピーニューイヤーは言った。

 

「あいつはもう、死んでいる」

 

ケンシロウみたいだけど、つたない英語で、たしかに上記のセリフをつぶやいた。

何が起きたのかは、わからない。

ただ、人垣の真ん中の白いオヤジは死んでいた。

生きているようにも見えたけど、どのみち持って数時間……くらいだろうなと、素人ながら思っていた。

 

 

 

でも、もっと強烈に「死」を意識したのはラオスの時。

場所は古都ルアンパバーン。

私がテクテクと散歩していると、前からバイク4、5台の若者集団がやってきた。

楽しそうなチーム。

まさに今が青春。

はじけんばかりのフレッシュな彼らだった。

 

バイクはそれぞれが2ケツ。

そして全員がノーヘル。

 

先頭のバイクが歩道の私とすれ違い。

2台目のバイクがビュンっ。

3台目もシャー。

そして4台目も──

 

ガッシャーン!

 

すれ違った直後にガッシャーン。

何事かと振り返ると、4台目のバイクは転倒していた。

ウィリー気味にコケたっぽい。

どうも「水に濡れた鉄製のマンホール」の上でブレーキをかけたのか、鉄板にタイヤを滑らせられてコケていた。

 

 

でも、見た瞬間に2ケツしてた後部座席の青年が即死しているのがわかった。

 

 

血と脳みそが出まくっていたのだ。

素人の私が見ても「即死」とわかる量だった。

 

ノーヘル2ケツの後部座席で、ウィリー気味に思い切りコケて後頭部を地面に強打、そのまま頭が割れて……という感じだと思う。

 

すぐさま周りにいた人たちが悲鳴をあげる。

「救急車、救急車!」みたいな声も飛び交う。

でも、明らかに青年は死んでいた。

つい数秒前まで「青春」していたのに、数秒後には「死人」になってしまっていたのだ。

 

 

さらに詳しく書くならば。

 

 

私の横を通り過ぎた瞬間は青春真っ只中の青年で。

私の横を通り過ぎた直後に事故が起こり。

私が振り向いた時には死んでいた。

 

 

本当に数十秒後のできごとである。

 

 

そのとき私は強く思ったのだ。

 

 

すぐそこに死はあると。

生と死は紙一重のところにあると。

 

 

私が生きているのは単に運が良いだけで。

一年後なんて無いと思った方が良いくらいで。

だから、生きているうち精一杯、全力で生きようと。

悔いの残らないように。

 

そんな気持ちで、生きている。

 

 

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  • 志村喬
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