いま、長距離バスに乗っている。
つい昨日「よし、行こう!」と決め、気合を入れて少し遠くに向かっている。
ちゃんと辿り着けるのか。
ちゃんと帰って来れるのか。
不安だらけなところが、また良いのだ。
ガイドブックなんで参考程度。
そもそも情報なんて数行だったし、その情報の価格すら違っていた。
まったくの未知数。
だが、そこが良い。
目的地の近くまでは2時間くらいかかるもよう。
バスなので、本を読んだら酔っちゃうおそれ。
もう他の人とコミニケーションをとることもないし、聞こえるのはエンジン音だけなので、車窓からチラチラと景色を眺めつつ、
イヤホンして音楽を聴く──。
これが沁みる。
景色に曲が付く感じというか。
いつかこの時に聞いていた曲を聴いていたら、その時に見た景色、つまり目的地に向かう途中の、どこかわからない場所のことを思い出したりするのだ。
よく思い出すのは、中国の雲南省のどこか。
あまりにも素朴すぎるワイルドな光景が、石野卓球のテクノの曲に、なぜか妙にマッチしていた。
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