あっという間の2週間。
今回お届けするスポンジの旅は、かつて私が何年も使い続けてきた3Mジャパン「スコッチ・ブライト 抗菌ウレタンスポンジたわし 3層リーフ型」だ。
ほぼ湾曲ナシ。
すこし表面が、ももけてきたくらい。
非常にタフなスポンジと言えるだろう。
ここから感想。
まず使い初めに感じたのは、「こんなにカタかったっけ?」ということ。
「オメーこんなカタブツだったか?」と。
さらにデカい。
「オメーこんなにデカかったっけ?」と。
ゴツゴツと。
頑固。
でも、仕事的には、しっかりこなす。
コップの底とかも、しっかりやりきる。
そして使い始めて2日で気づく。
このスポンジ、そのデカさとカタさが作用しているのか、なんとなく「勝手にやり切る感じ」がするのだ。
力を入れずとも、勝手に洗い切る。
寡黙な仕事人だなと。
そして3日目で、完全に馴染んだ。
カタいと感じていた感触も、少し柔らかくなったのか、それとも私が慣れたのか、違和感のないものになっていた。
このあたりで、私はモーレツに、とある車のことを思い出していた。
それは、社用車として有名な「ハイエース」。
乗り初めの時は、そのデカさに驚く。
トラックのようなエンジン音にも。
こんな大きな車、私に運転できるのだろうかと。
しかし慣れてくると、とたんに運転しやすくなっていく。
多少ハンドルにもあそびができて。
柔らかくなったのか、それとも私が慣れたのか。
デカさにも慣れてきて。
むしろこのデカさが良いと感じるようになり……。
ものすごく運転しやすい! と。
まさにスコッチブライトは、ハイエースのようなスポンジだなと。
ものすごくハイエーシィーなスポンジだなと。
そう思ったのである。
そして、1週間もすると、もう「これじゃないとヤダ」という感覚になっていた。
とても落ち着くというか。
ストレスなき相棒というか。
思い出した。
なぜ私が6年以上もスコッチブライトばかりを使っていたのか。
同時に、前に住んでいた家のこと、当時の生活なども思い出していた。
たぶん私は、心の安定を求めていたのだと思う。
生活の安定というか。
スコッチブライトのスポンジには、抜群の安定感がある。
だからだ、と。
もう少しこの国にいたい。
もう少しスコッチブライトを運転していたい。
私は東京生まれなので故郷は無いに等しいのだが、たぶんこれが「故郷 (ふるさと)」に帰る、みたいな感覚なのだろうなと思った。
だが、もうビザ切れである。
スポンジの旅のビザは有効期限2週間。
振り返ることなく、次の国へ進まなければならない。
後ろ髪を引かれる思いで、わたしはスコッチブライトを、シンク掃除用として使う「2軍」の位置に入れ替えた。
次に「1軍」の位置に差すスポンジは…
これである。
アイセンってメーカーの「長持ちスポンジ」。
けっこう面白い構造をしている。
これは期待……って!
……なぜか……
お酒のつまみによく出てくる「イカのつまみ」みたいな香りがする。
さきイカ、みたいな。
ともあれ、今日から彼が1軍。
どんな仕事っぷりを見せてくれるのだろう。
それではまた2週間後に!
【これまでのスポンジの旅】